2009年9月27日

さらば

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写真は荻窪駅北口の、今は無き飲み屋街での1コマ。

9月7日、この日「もじあるき」のロケハンで荻窪を訪れた僕が、駅の地下改札から登って外に出て、突然突きつけられたお知らせ。

「4年間のご愛顧、本当にありがとうございました 立ち飲み 金魚」

金魚を初めて訪れたのは数年前、当時お世話になっていたプロデューサーに連れられての事だったと思うが、塊から直接ほじくり出して供されるチーズと串焼きが美味しくて、基本立ち飲み屋なのだが、随所に溢れる洋風な雰囲気が新鮮でその後何度か訪れるようになったのだった。
ロケハン数日前にも荻窪で遊んだ帰りに立ち寄って、熱々のマッシュルーム煮の油をフランスパンに漬けながらホッピー、というスペシャルコンボを堪能していた。
そこでこの寂しいお知らせである。

お隣の焼き鳥屋・鳥もとのシャッターにも、新たな移転先の書かれた地図が貼られている。
いつ来ても軒先まで客がひしめく繁盛店だった鳥もとのお知らせは少なからざる通行人達の興味を引く様で、「えー、無くなるの?」とか、「この立地最高だったのに」などと話す声が漏れ聞こえていた。

そこでふと周りを見渡すと、無骨なバスロータリーの向こうにそびえ立つタウンセブンがある。戦後の闇市から発展した商店街の各店舗が、老朽化に伴い集まってテナント入りした商業施設である。
屋上には昔懐かしいプレイランドが、東京では珍しくサラリーマンよりも子連れのお母さんの方が多く居る割合で賑わっている。
ここで重要なのは、28年前、当時のニューオーダーだったであろうタウンセブンが、28年後に手に入れたものが「懐かしさ」である点だ。

確かに一見バラック小屋の様な、闇市の面影を残す金魚の一角が無くなってしまう事は寂しいが、タウンセブンの事実は時の移り変わりを人々に承諾させるのに十分な事実だ。

何だかバスロータリーを挟んだこの状況は、昔Jリーグが発足した時の教室の雰囲気に似ている。
クラスの大部分が少年野球チームに所属する中、それまで肩身の狭かったサッカー派が、校区を越境してサッカーチームのある学校まで通い始めたフロンティア的な格好良さと、後年すっかりサッカーがメジャーになった状況で頑なにバットとグローブを離さなかった野球少年的な格好良さと。
今や野球とサッカーは同じ位の割合で普及し、楽しまれているが、「寂しい」が「悲しい」に感じるのはどちらか一方、もしくは両方の存在がゼロになった時だろう。
つまり荻窪で言うと、闇市的な建物が一切無くなった時か、地震でも起こって一帯が更地になった時である。

今はフェンスで囲まれた金魚の一角の工事が着手されるのは数ヶ月先らしいが、それまで束の間の3年荻窪組の雰囲気を楽しみに、これから何回か行われるロケハンで足を運ぶのは悪くない。

またさらに20年後、荻窪はどうなっているんだろうなあ。



【おまけ】
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タウンセブン屋上にて撮影。次回「もじあるき」で、FRP製のチューブみたいな遊具から顔を出して喋るオープニングが良いんじゃないかと試し撮りした結果。
「どう見ても打ち首」という意見が多数だったため、今回は没に。

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