2010年2月2日

ゆきゆきて

どうも、よっつです。 

最近は割と大きな仕事でばたばたしているのだが、1日が運良くスポッと空いたので、ピーター・ジャクソンの新作「ラブリー・ボーン」を見に行った。
なので順当に行けば映画の感想日記になるはずだが、今日は多分そうならない。

本当は吉祥寺にでも観に行きたかったのだが、雨のせいで渋々新宿へ観に行った。指定席の映画館はあまり好きじゃないのだが、映画の日だから仕方無いか、と自分を納得させた。

映画はペンギンの人形が入ったスノードームにまつわるエピソードから始まり、以後キーアイテムのひとつとして使われていた。
ピーター・ジャクソンらしい幼女殺人鬼の執拗な描写に感心しながら、殺された主人公が死後しばらく、現世と天国の狭間で思い通りの世界で遊んでいるシーンは「俺の作りたかった春のシオンはこういう感じなんだよ!」と悔しい思いをする。
ピーター・ジャクソンはスプラッター界の神であるが、イコールそれはファンタジーの鬼であるという事が、一連のシーンを観れば納得いくはずだ。
ストーリーの進行は、多分この作品は主人公と同じ14歳の少女向けなため仕方無いとはいえ、幼女殺人鬼の最期が天罰チックなのが腑に落ちなかったが、デレクばりの崖からのダイブを決めるので良しとしよう。

そんなこんなで劇場から出ると、雨は雪に変わっていた。




南国生まれだからか僕は雪を見ると無条件に嬉しい人間で、意味も無く新宿近辺をぶらつく事にした。
「タイムズスクエア辺りえらい事になってる気がする」
根拠も無くそう思い、自分はスノードームの中で満たされた生活を送っているペンギンなのだと思いながら街を歩く。

雪はしっかりした結晶になったり、シャーベットみたいになったりしながら降り続く。極小サイズのレフ板になって新宿の明かりを空気に跳ね返し、いつもはやかましいネオンや看板をやわらかい霞に隠す。

新宿駅南口に着くと、案の定タイムズスクエアの遠近感は雪に狂わされれていて、工事現場の向こう側に本物のタイムズスクエアがあるみたいになっている。時計は青白い、朧ろ気な光で、現在時刻はよくわからない。



家に帰ると、近くの駐車場にはもふもふと雪が積もっていて、写真を撮った後踏んで回った。



そういうわけで、もう良い歳なのににやつきながら夜の街をほっつき回っているうちに、映画の事は頭から飛んで行きました。



「岬には岬の掟雪積もる」―。
(どんな町や村にもある種の掟のようなものがあり、人々は普段それに従って生活しているが、ある日雪が全てを白く塗り潰して、どんな掟も消え去ってしまった)

これは祖父が読んだ句の一首で大好きなもののひとつだが、雪に過剰な魔力を感じるのは血のせいか、土地柄なのか。
多分東北の人とかは定例行事どころか逆に災害として受け止めるだろうからまた違うと思うけど。しかしご当地の災害で言うと台風ですら、死者を尻目にちょっとはしゃいでしまう事は否定できないからやっぱり血なのかねえ。

そんな事を考えながら、明日には欠片も残ってないであろう雪を踏み付け、キシキシと悲鳴を上げさせていた。

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