2010年2月8日
こんばんは。工房員の我妻です。
珍獣って、響きが面白いだけです。やっぱり「珍」の要素を動きやら態度やらで示してこそ、珍獣たる面白さがあると思うのです。珍獣といわれる動物が、ピクリとも動かなかったら、やっぱり興味が殺がれちゃうわけでしょ?
むかし、リットン調査団のトークライブを見に行ったとき、そんなことを思った。普段、舞台で「シャイニングウィザード」とか「鶴田のニー!」とか飛び跳ねている人たちが普通に喋っているのを見たとき、物凄い違和感を感じてしまったのです。まったく動かない。珍獣は、動かないとただのアニマルだということに気が付いたのです。止まっていても成立するのは、そりゃ動物じゃなくて実は怪物なんだよ。
余談開始。
でも、トーク中の2時間、水野さんの左手がずっと震えていたのには好感が持てた。あれはセブンセンシズだった。ピンクフロイドの「ザ・ウォール」なんかを、あの震えと合わせてかければ最高の興ざめになるはず。舞台で震える人なんて嫌いだけど、舞台で震えない人間はもっと嫌い。
余談終了。
少し前、怪物を見た。
それはゾウでした。2月3日のこと。岡山市の池田動物園が、飼育しているゾウの「メリー」に恵方巻きを食べさせるというnews映像を見たときのことでした。その恵方巻きは、トウガンの中にシャリに見立てたサツマイモと、小松菜、ニンジン、バナナなどを入れた“2本で重さ10キロ”もあるゾウ用としてこしらえた特製のものだった。断面部分を見ると、粉々にされ散りばめられた彩り豊かな野菜が、我々が食す恵方巻きと同じようなデザインになっており、たしかにそれは恵方巻きとして遜色のない出来栄えを誇っていた。
丁寧に飼育員が、ゾウを西南西の方角に誘導し、あの長い鼻に特製恵方巻きをクルクルっと巻きつかせて、口に運ばせようとしていた。
だけど、刹那にゾウは恵方巻きを足で踏み潰すや粉砕し、地べたのうえで残飯状となったそれをムシャムシャと食べ始めてしまった。もちろん西南西なんか向いてやしない。
こいつは怪物だ、と僕は映像を見ながら思った。
「引越しのご挨拶に伺いました」と、新たに隣に居を構えることになったお隣さんから、挨拶がてら粗品を渡された瞬間、それを足で踏み潰し、箱から飛び出た何かしらの物質を凝視しつつ『わざわざお心遣いありがとうございます』と挨拶したらどうなるだろう。
どんな形であれ、“奥様は魔女”ならぬ“隣人は化け物”というソープオペラが幕を開ける。
ゾウに恵方巻きという人間の文化を押し付ける光景。口に運ぶ気配すら見せず、いきなり足で冬瓜を粉砕するゾウの動物本来の凄さを見たとき、やはりゾウは怪物なのだなぁと畏怖を感じてしまった。
カズ三浦カズ「人間も動物ですよ」(「日本も世界ですよ」的な)
ならば、ゾウからみれば、無理やりワケの分からない物体を鼻に巻きつかせられ口に運ばせようとした人間たちこそが怪物に写ったかもしれない。ムシャムシャと残飯を食い散らかす怪物・ゾウと、それを満足そうに見つめる怪物・飼育員さんたち。その中間に、バラバラと散乱する野菜たち。あれは、まるで中国とアメリカに挟まれる日本?! 気が付くと、そこには政治的ポンチ絵が完成していたのでした。
享保13年。
長崎から2ヶ月かけて江戸までゾウを連れてきたとき、東海道には多くの見物人が訪れたという。京都を通過する際には、天皇にお目通りすることとなり急遽、ゾウに従四位が贈位された(無階ではお目通りができないため)。歩いていただけなのに、従四位。ちなみに石田三成も従四位。
カズ三浦カズ「人間も動物ですよ」(「日本も世界ですよ」的な)
色々あるが、春先にゾウを見に行こうと決めた。そんな日記です。
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