2008年9月3日

素朴な存在感。

ごろりです。

もう終了してしまったが、原美術館で行なわれていた「アート・スコープ2007/2008―存在を見つめて」展を滑り込みで見に行った。これは日本とドイツの現代美術作家をアーティスト・イン・レジデンスという形で交換留学みたいなことをさせて、それぞれの作家に作品を作ってもらうという展覧会である。

今回は日本から2人、ドイツから2人のアーティストによる展示だったのだが、そのなかでもとりわけ印象に残ったのが加藤泉さんという方だった。この方は絵画と彫刻の作品を作っている方で、かわいらしいような不気味なような、なんとも言えない不思議な雰囲気がある。(写真は別の展示のもの)

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この方の場合はたぶん絵画が先にあって、その絵画のイメージが自然と3次元になって彫刻になったという感じ。両者とも受ける印象はそれほど変わらないが、僕個人としては彫刻のほうが面白かった。なんていうか、置いてあるだけで、まわりの空間に変な違和感のようなものが生じるのだ。だから、しばらく見て、次の展示を見に行こうとしても、どうにも引っかかって、やっぱり戻ってもう一度見てしまう。例えばこの彫刻を買って、部屋に飾ったら、部屋の雰囲気はまったく違うものになるだろう。それはほかの彫刻や絵画作品でも同じなんだろうが、「どのような空間に変化するか」というところに、作品と鑑賞者との相性が表れる気がする。作品自体が良くても「部屋には置きたくないな」というものだってあるのだ。今回はその相性がぴったりだった。

おそらく徹底的な素朴さが良かったんだと思う。寸胴だけど有機的なフォルム、なんとも言えない色のまぶし方は、プリミティブだけどそれが妙に神聖に見えたりして、どれだけ長い時間眺めていても飽きなかった。展覧会のサブテーマ「存在を見つめて」の言葉がいちばんしっくりくる。小さいけれど、どっしりとした存在感があった。

そういえばこの方の展示は、過去に水戸美術館の「Lonly Planet―孤独の惑星」展で見たことがあったが、正直そのときはそれほど印象には残らなかった。それは彼の作風が変わったというよりは、見る側の僕の嗜好が今とは違ったからだ。どう違ったかというのを言葉にするのは難しいが、前よりも、より”素朴なもの”に対する興味は深まっていると思う。「Lonly Planet」展は4、5年くらい前の展示だったと思うが、あの展示を今の自分が見たら、すべての作品においてまったく違う印象を持つだろう。そういう自分のなかの変化をひとつひとつ確認していく作業は、なんだか楽しい。

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