2007年5月2日
舞台は山間に田んぼの広がる地方の町。そこに住む中学3年生の男女が主人公の作品。
彼ら彼女らの思春期ならではの微妙な心象と狂気を、近づいてくる台風とともに描ききった青春映画の傑作。
メタファーというといまいち的外れになってしまうけれど、言葉では伝えきれないテーマや、目には見えない登場人物の心理をどう具体的なカタチに置き換えて表現するかが、映画の真骨頂のひとつなわけで。
台風の到来とともに主人公たちの心の揺れ動きが始まり、次第に強さを増していく雨風に巻き込まれるように個々の感情が溢れ出し、勢いづく暴風雨の中で絶頂を迎え、そして唐突に祭りは終わり、嵐の過ぎ去った後の静かな時間が流れる。
あまりに鮮やかで、なんとまぁ映画的なアイディアなのだろうと感動する。選んだモチーフとテーマ、そしてそれを形にするために成された演出が、物凄く密接に結びついている作品だなと感じた。
また、先生役の三浦友和を筆頭とした大人のキャラクターが、主人公たちの記号的な「敵」にならずに、人間としてリアルに魅力的に描かれている点にも演出の鋭さを感じた。
物語を押し進めるための都合の良さは、往々にして見る側が冷めてしまうひとつの要因になると思うけれど、この作品では、嘘をつくべき部分とリアリズムに徹する(リアルを目指す)部分とが絶妙に絡み合っていたように感じた。一見突拍子もないように思える主人公たちの行動も、青春期の危うさが根っこにセットされているぶん納得させられてしまうし、作品全体のボルテージをあげる強い力になっている。
嘘をつくことにしっかりと責任を持っている監督なのだろう。
映像手法についてはあまり詳しくないので省略するけれど、独特の長回しや、音楽にのせて描かれるシーン毎の軽快さに乗せられながら、この作品でもっとも感動したのは、しっかりと筋の通った映画の発生のさせ方、嘘のつき方であったかもしれない。
(相米慎二 監督/1984年/日本/カラー/115min)
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中村 武史
nakamura takeshi

大里 圭介
oosato keisuke
プロフィール
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