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2005年09月26日

第6回 今夏、もっとも長い一日

8月20日、朝3時半ごろ。

船室に戻ってから、実はほとんど眠れなかった。やっぱり船内で思わぬ出会いや会話ができたことで、気持ちが高揚したということもあった。隣に居る家族連れのオヤジの寝返りがひどかったというのもあった。

ひどい眠気だ。ひどい眠気なのに、目をつぶって頭を真っ白にしても眠れない。

そうこうしているうちに、突然部屋の電灯が点いて、小樽に着いてしまった。もちろん電灯が点いてから到着、下船するまでにはさらに30分ほどかかるのだが、その時間になると逆に緊張して眠れない。まさか、船で寝過ごすわけにもいかない。しょうがないから、ほとんど眠れぬまま外へ出る。港がすぐ近くに見える。しかし外は暗い。時間は4時前後か。

エントランスに行くと、下船準備を済ませた旅人たちが皆うろうろしている。もはや眠れるわけが無い。この場所で、昨夜お話をした「チーム・新日本海フェリー」の人たちに別れの挨拶をする。すると、そのメンバーのうち、RSRに行くというTさんは、なんと帰りの船も同じだということも知る。

「また、会いましょう」と携帯電話の番号を交換して別れる。

いくばくかの落ち着かない時間を過ごすと、ついに下船時間になる。降りてみると、ターミナルの外は、笑ってしまうほどの大雨。これは一体なんだ。RSRはいったいどうなるんだ。

とにかく小樽に着いた。気温は、寒がりの僕は若干寒さを感じるが、長袖を着ていれば問題はなさそうだ。ラブレターが届く街、小樽とは、どんな街なのか。それは、RSR後に散策することにする。

小樽ターミナルから、札幌駅まで、直通シャトルバスが出ている。しかし船は予定よりも早く着いてしまったのか、バスの発車時刻までにはあと30,40分くらいある。ターミナルは静まり返っている。ちょっとした物音が施設内に響き渡る。なんだか緊張する。ベンチも、横になって眠れるような親切なものではない。実際、周りの人は誰も寝ていなかった。

しかし、この眠気をどう解決すればよいのだろう。RSR会場に入ってから眠れるとは思えないし、眠ってしまってはもったいない気もする。眠るとしたら、今しかない。そこで、思い切って「ベンチで横になる人・第一号」になってみる。ベンチはごつごつして、痛い。ここで20分ほど眠りに落ちる。

起きてみて、まわりを見回すが、誰も僕に追随して横になっている人が居ない。つまり僕は、「空気が読めてない人」に成り下がってしまったのだ。しかし眠かったのだ。しょうがないのです。ターミナルの外は、まだ滝のような雨。しばらく待つと、バスがやってきた。

バスが、これがまた乗り心地が悪かった。とにかく揺れる、シートも硬い、変なにおいがする、と、まったく眠れる要素が無かった。バスは高速を通って、札幌に向かう。景色を見てみたが、雨なのでよく分からないし、見えてくるものに関しては東京とそこまで変わらない。住宅ばかりだし。

気づいたら札幌に着いていた。あっけない到着に、何の感慨も無かった。札幌駅の目の前だったが、最初に時計が見えたので、「あれが、あのなんてことないのが、時計台か…」とがっくりしてしまった。もちろん違うということは後日分かるわけだが。

時間は5時半くらい、札幌はまだ眠っていた。とにかく人が歩いていない。ちょっとした所作が、すべて反響する。

札幌の階段の隅で、眠ろうと思ったのだが、なんとなく場の空気としてそういう感じではなかった。ここで、11時のRSR開場に向けてどうすべきか、しばし悩んだ。

無計画なひとり旅で、「この先、どうする?」と深刻に悩むことは、この旅行中この先何回かあるのだが、はじめてこの「悩み」にぶち当たった今、かなりへこんだ。テンションも格段に下がった。なにせ、北海道最大の都会・札幌が、想像以上に眠っているのだ。どこにも逃げ込む場所が見当たらない。これは大誤算だった。

しばらく悩んでから、とにかく進むしかないということで、RSR会場までのバスが出ている地下鉄の麻生駅まで、とりあえず行ってみることにした。時間にして、6時ごろ。

 

麻生駅まで時間がかかるのかと思ったら、相当にあっけなく着いた。溝の口から渋谷に行くよりも短かったと思う。このあっけなさが、また「どう過ごす?」の悩みを加速させていった。

なにせ、麻生駅を出たら、予想できたことだが、札幌以上に、何も無いのだ。しかししかし、それでも、RSRに向かう若者たちが、わんさかたむろしていて、その状況になにか救われるものと思っていた。しかし、僕が見たのは、排気ガスの充満したバスターミナルの地面に、死んだような顔をして音楽を聞いている、廃人のような人たちの姿だったのだ…。

僕はもはや写真を撮る気にもなれず、たまたまそばにあったマクドナルドに入り、朝マックを食べた。しかしすぐ食べ終わった。そしてマクドナルドは道に立っているよりも居心地が悪かった。だから、すぐに店を出た。当然ほかに店は無かった。セブンイレブンで週刊新潮を立ち読みしても、すぐに読み終わった。

バスが出るにはあと数時間。僕はどうすればいいんだろう。とりあえず、この旅行を後悔した。高くても、飛行機で来れば良かった。いやそもそも、来なければ良かったのだ…。

眠気はますますひどかった。バスターミナルの横に、小さなバス待合所があった。僕はそこのベンチに座ったまま、無理矢理眠ってみた。もちろん、眠れなかったが…。

 

しかし、なんとか耐え切った。過ぎるのが遅い時間を、なんとか耐えしのんだ。数時間後、RSR会場行きのバスが見えたとき、僕には天使に見えた。僕は走ってバスに飛び乗った。

しかし、会場に着いてから、さらに入場までに1時間以上待たされることになるとは、思いもしなかった…。

RSRって、楽しいのか?

このとき、僕の頭の中は、この疑問でいっぱいだった。

 

書いている人 大里 圭介(ごろり)
Oosato Keisuke

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