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2005年12月18日

第13回 佐渡島へ。

8月22日、11時ごろ。

晴天または曇天のなか、船は着実に進んでいく。

船に乗ったら、昼だろうがなんだろうが、とにかくビールが飲みたくなる。これは何故だろうかといつも思う。ジントニックでもカシスオレンジでもなく、ビールなのだ。そしてそれを飲みながら、屋上のデッキに登って、このように空を眺めてみる。

「ああ、自分、いま一体なにやってるんだろう」などと途方に暮れつつも、このような時間の使い方を贅沢に感じる。

屋上デッキには、ビアガーデンがある。そしてそこでは、北海道名物ジンギスカンが食べられる。行くときにもあったのだが、タイミングを逃して食べられなかった。そして、ビアガーデンでわいわいやっているのは皆団体客であり、ひとりでぽつんと鉄板の肉をひっくり返している偏差値の低い人間など見当たらない。

しかしちょうど昼、お腹がすいていた。僕は思い切って4人席のテーブルをひとり占めして、ジンギスカンを頼んでみた。1000円。

このように鉄板が運ばれてくると、一人であることがますますむなしい。しかしそんなことは関係ない、いまは肉のことだけを考えればいいのだ。

海風を受けながら焼くジンギスカンはまた格別だった。嗚呼この喜び、幸せ、誰かに伝えたいと思ったが誰も居ない。

その後不定期に眠ったりしながら、カフェでひとりコーヒーなどを飲んでいたら、行きの船で偶然知り合ったタカヨさんを発見して、しばしRSRの感想などを談笑した。タカヨさんは東京に着いたらすぐに、ペルーだかどこだか忘れてしまったが、スキーをしに行くのだそうだ。そういうの、いいなぁ…。あこがれるなぁ。

夜までくっちゃべって、眠くなったので寝た。しかし朝4時くらいに強制的に電気がつけられて、起きてしまった。新潟の到着時間は朝5時である。窓を見ると、うっすらと空が明るくなっていた。

入港する時間にはすっかり空は明るくなっていた。帰りはあっという間だったな。

しかし、朝5時に新潟のフェリーターミナルに強制的に下ろされたって、何をしていいのかわからない。ちなみに往復でバスを予約したのだが、新潟発・新宿行きのバスは、新潟を夜10時に出発する。ということは、新潟で十数時間を過ごさなくてはならないのだ。

新潟フェリーターミナルからは新潟駅行きのバスが出ていたが、僕は時間かせぎのために、とりあえず歩いてみた。

そして新潟駅近くの「すき家」で朝ごはんを食べた。お店を出たとき、なんと「池袋行き」と書かれたバスに乗客が乗り込んでいるシーンを発見。おい、朝のバスあるんじゃねえかよ、と思ったが、今更そのバスに乗ることはできない。僕は悲しくバスが池袋に向かって出発していく背中を眺めた。

それでも朝8時くらいだったので、どうすることもできず新潟駅前のタリーズ・カフェに入った。タリーズは、あらゆるチェーン店系カフェの中でもっともお気に入りであるので、丁度良かった。

しかし、僕はこれからこの十数時間をどのように過ごすのか、実に混乱した。なにしろ、まったく予定が無いのである。なにをしようという希望も無い。新潟についての知識も無い。

よく「なにも考えず、ぶらり旅」などと言うが、それが如何に苦しいものであるか、このときよく分かった。やはり旅行と言うものは、ある程度予定がないといけない。予定を立てている人は、いま僕がこうして悩んでいる時間にも、適切な方法で目的地に向かっていることだろう。

しかしひとり悩んでいても発展しないので、意を決して、タリーズカフェで働いていたお姉さんたちに、「新潟の観光地ってどこがありますか?」と、おそるおそる聞いてみた。

するとお姉さんたちはお仕事中にもかかわらず、親切に僕の質問に答えてくれた。働いていたお姉さんたち3人が集合して、どこかなぁと相談してくれている。

そして、

「基本的に新潟は何にもないけど、佐渡島はどうですか?」

と提案してくれた。ほかのお姉さんたちも「うんうん、佐渡島なら良いよね」と同意している。

僕は「今日中に新潟駅に戻らないといけないんですが、佐渡島の観光スポットってどこがありますか?」

と聞いたら、一斉に「佐渡金山」という答えが返ってきた。決まった。目指すは佐渡金山だ。

タリーズカフェのお姉さんたちは本当に親切だった。実に嬉しかった。これで、僕のタリーズに対する評価もますます急上昇である。なにかお礼するものを持っていればよかったが、なにもなかったので、ひたすら「ありがとうございます」と言ってカフェを出た。

さっそく僕は、佐渡島行きの船が出ているフェリーターミナル行きのバスに乗り込んだ。何故かこのバス、非常に混雑している。

バスで行くと、佐渡島行きのフェリーターミナルは五分〜十分くらいで着いた。ここのフェリーターミナルも実に充実している。船には1時間で着くジェットフォイルと2時間かかるカーフェリーの二種類があったが、値段も安いカーフェリーに乗ることにした。

ちなみにこんな船である。さきほどまで大型フェリーに乗っていたので、この船は小さく見える。

しかし船内は実に豪華というか、しっかりしている。満足だ。

貧乏な僕は当然2等船室である。しかし、たかだか2時間で着く船なのに、1等船室を数万かけて乗る人など、いるのだろうか。この船の2等船室は若干汚いが、気を使わなくていいようなラフな感じだった。

船はけっこう揺れる。けれど酔い止め薬も効いているし、問題は無い。そして船には例によって鳥がついてくる。なぜ鳥はついてくるのだろうか。

とにかくこうして、僕は佐渡島に向かう。

書いている人 大里 圭介(ごろり)
Oosato Keisuke

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